「どぶ」ってなんのことですか?

「どぶ」 ・・ いつもながら もう少し 良い名前が無いのかな? と思いますね。

ドブもメッキの1種

鉄はご存知のように すぐ錆がでます。鉄で作ったねじ製品はその防止のため、メッキ加工をします。ドブもそのメッキの1種です。

ねじを「どぶん」と浸すから

亜鉛が溶けている槽の中に ねじを浸し、メッキします。その浸す作業を「どぶん」と漬けるとの擬似表現から 「じゃぼ漬け」、「どぼ漬け」、「天ぷら」等と呼ばれていました。弊社では 価格表や配布文書には「ドブめっき」との表現を採用し、使用してきました。今ではほとんどの方が「ドブめっき」と呼ばれています。正式には「 溶融亜鉛鍍金 」(ようゆうあえんめっき)といいます。
日本工業規格(JISH-8641)に規定があります。

「どぶ」という語呂のインパクト

ほんの最近 少しソフトな感じを出したくて 平仮名で「 どぶ 」 と書くようにしました。
また、USAでは Hot-Dip Galvanize と言います。そうです弊社の ロゴは此処から取りました。
いずれにしても 「 どぶ 」という語呂は、通常ご存知無い方にはインパクトが強すぎますね。

では 溶融亜鉛鍍金とは?

鉄は価格が安く、機械的性質が優れている為、金属のなかで最も大量に使用されておりますが、その最大の欠点は腐食され易いことで、そのため構造物や製品の強度が低下したり、錆のため美観を失って、使用に耐えられなくなってしまいます。

優れた耐食性

溶融亜鉛鍍金は、鉄鋼製品の表面に、緻密な保護皮膜と電気化学作用によって優れた防錆層を作りますので、大気中・海水中・土壌中にあっても、完全に腐食から防護致します。

最も経済的

長期間にわたって防食効果がありますので、特殊の場合以外は補足的な防食手段はいりません。したがって、長期の防食を目的とする場合、他の防錆法と比較して最も経済的です。

優れた密着性

溶融亜鉛鍍金は、鉄地と亜鉛の合金反応により密着しておりますので、衝撃や摩擦により剥離することがありません。

優れた被覆性

パイプやタンクの内面など、複雑な中空体構造物でも目に見えない、手の届かない隅々まで、内外面にめっきできます。

「溶融亜鉛鍍金」のone-pointメモ

一言で説明するのは何に関しても難しい話ですが、あえて申せば、Hot-Dip の 耐用年数 およその数値です 。
(あくまで参考数値につき 利用の際にはご注意下さい )

試験環境 めっき付着量 440g/㎡ 500g/㎡ 600g/㎡
重工業地帯 横浜市鶴見区 11.6 年 13.7 年 17.4 年
海岸地帯 伊良湖岬 29.0 年 36.0 年 43.9 年
郊外地帯 奈良郊外 50.7 年 62.5 年 80.6 年
都市地帯 東京都内 22.9 年 28.1 年 34.0 年

溶融亜鉛めっきの仕様

旧 JIS H8641 より抜粋 2021年12月20日 改定

旧規格 現 記号 膜厚(μ以上) (平均) 付着量(換算 g/㎡) (平均) 適用例(参考)
HDZ A HDZT 35 平均 35 以上 平均 250 以上 厚さ5mm以下の鋼材・鋼製品、鋼管類、径12mm以上のボルト・ナット及び厚さ2.3mmを越える座金類などで、遠心分離によって亜鉛のたれ切りをするもの、又は機能上薄い膜厚が要求されるもの
HDZ B HDZT 42 平均 42 以上 平均 300 以上 厚さ5mmを超える素材で、厚さ2.3mmを越える座金類などで、遠心分離によって亜鉛のたれ切りをするもの、又は機能上薄い膜厚が要求されるもの
HDZ 35 HDZT 49 平均 49 以上 平均 350 以上 厚さ1mm以上の素材、直径12mm以上のボルト・ナット及び厚さ2.3mmを越える座金
HDZ 40 HDZT 56 平均 56 以上 平均 400 以上 厚さ2mm以上の素材
HDZ 45 HDZT 63 平均 63 以上 平均 450 以上 厚さ3mm以上の素材
HDZ 50 HDZT 70 平均 70 以上 平均 500 以上 厚さ5mm以上の素材
HDZ 55 HDZT 77 平均 77 以上 平均 550 以上 厚さ6mm以上の素材

メッキの工程に変化はございません。改定により、旧規格でもおこなっていた膜厚測定による測定結果の数値で、検査が完結するようになりました。

種類 記号 付着量g/㎡ (平均) 硫酸銅試験回数 適用例(参考)
1種 HDZ A 4 回 厚さ5mm以下の鋼材・鋼製品、鋼管類、径12mm以上のボルト・ナット及び厚さ2.3mmを越える座金類。
HDZ B 5 回 厚さ5mm以下の鋼材・鋼製品、鋼管類及び鋳鍛造品類。
2種 HDZ 35 平均 350以上 4 回 厚さ1mm以上2mm以下の鋼材・鋼製品、鋼管類、径12mm以上のボルト・ナット及び厚さ2.3mmを越える座金類。
HDZ 40 平均 400以上 厚さ2mm以上3mm以下の鋼材・鋼製品、鋼管類及び鋳鍛造品類。
HDZ 45 平均 450以上 厚さ3mm以上5mm以下の鋼材・鋼製品、鋼管類及び鋳鍛造品類。
HDZ 50 平均 500以上 厚さ5mmを越える鋼材・鋼製品、鋼管類及び鋳鍛造品類。
HDZ 55 平均 550以上 過酷な腐食環境下で使用される鋼材・鋼製品、鋼管類及び鋳鍛品類。

【備考】
1.HDZ 55のめっきを要求されるものは、鉄地の厚さ3.2mm以上であることが望ましい。3.2mm未満の場合は事前に当事者間で協議すること。
2.表中適用例の欄で示す厚さおよび径は、呼称寸法による。

溶融亜鉛アルミニウム合金めっきの仕様

SGメッキ・Leoメッキなど
旧 JIS H8643より抜粋

種類 現 記号 規格 適用例(参考)
1種
(平均膜厚)
HZA25A 平均 25 μ(ミクロン) 以上 直径12mm以上のボルト、ナット、厚さ2.3mmを超える座金など
HZA36A 平均 36 μ(ミクロン) 以上 厚さ1.6mm以上の鋼材、鋼製品など
HZA50A 平均 50 μ(ミクロン) 以上 厚さ6.0mm以上の鋼材、鋼製品など
2種
(付着量)
HZA18B 平均 180g/㎡ 以上 直径12mm以上のボルト、ナット、厚さ2.3mmを超える座金など
HZA25B 平均 250g/㎡ 以上 厚さ3mm以上の素材
HZA35B 平均 350g/㎡ 以上 厚さ5mm以上の素材

尚、比重を持たせていない為、1種と2種の整合性がございません。2種の検査には、試験体が必要となります。

もっと詳しく知りたい方

溶融亜鉛メッキ協会HPへLink